弊社が昨年イタリアから輸入した車で、日本上陸後二人目のオーナーの許への納車に向けて現在整備中です。

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もともと現地で愛好家が大切に保有してきた車なので、輸入後も特に大きな整備は必要ありませんでした。

今回、納車整備としてキャブレターのオーバーホールとバンパーのクロームメッキをし直すことになりました。
F2エンジンのレギュレーションを満たすために生まれたフィアット・ディノですが、この車は後期型の2400ccです。
1969年トリノショーでフェラーリ・ディノ246GTと共に発表され、生産も同じ時(同年12月)に同じ工場
(マラネロのフェラーリ工場)で仲良く始まりました。

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燃料の配管やスロットル・リンケージを外し3基のキャブを下したところです。エンジン自体はけっこう
低い位置に搭載されているのがわかります。
ヴィットリオ・ヤーノが手掛け、エンツォの息子ディノも開発に係わったバンク角65度のV6レーシング
エンジンがベースです。これをアルフレッド・ランプレディが公道向けにデチューンしたもので、この数年後には
ランチア・ストラトスにも使われました。

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キャブレターを分解、清掃して取り寄せたオーバーホールキットの部品で組みあげていきます。本体内部の
細い燃料経路を入念に確認しながらエンジンコンディショナーやキャブレタークリーナーで洗浄します。
これらのケミカルは強力なのでゴム手袋がしばらく使っているとブヨブヨに変質してきます。
その下の画像は洗浄の済んだジェット、スクリュー類です。

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きれいになったオーバーホール後の状態です。ウェーバーのダウンドラフト40 DCNF型で、下段の写真は
キャブの底面から撮ったところです。蓋みたいに見える二つの色の濃い部分がアクセルに連動して開閉する
スロットルバルブで、型番の「40」はこの口径が40mmであることを表します。
キャブレーターの時代、ウェーバーは車好きの琴線にふれる憧れのブランドでした。嬉しいことに今でも
イタリアのマニエッティ・マレリ社の傘下でスペインにて製造を続けています。リンク→WEBER

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元の位置に取り付けられてこれから調整に入ります。このキャブが並ぶ光景がたまりません!
インジェクションがすっかり当たり前になった今ではキャブ調整の経験のないメカニックも珍しく
ありませんが、当社のメカニックは自身でも長年にわたってキャブのチューニングカーを
保有して知り尽くしていますので心強いです。

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上のキャブを外した写真と共にご覧いただきたいのがスーパーカーの流儀にのっとったエンジンルームです。
ボンネット裏とエンジンルーム内が黒く塗装されています。ここがボディと同色だとちょっと
普通の車っぽくなってしまいますが、こういう何気ないところにこの車の生まれが出ていますね!

旧い車が大好きなT様、もう少しでご納車できます。私共もお渡しする日が楽しみです。

納車に向けて整備を進めてきました1991年式964型カレラ2です。

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真っ赤なポルシェ!オリジナル状態が良く保たれています。

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撮影時はちょうどブレーキホースの交換中でした。重要保安部品であるこのホース、ゴムでできているので
時間と共に劣化するのは避けられません。経年変化だけでなく冬季、路面にまかれる凍結防止剤(塩化カルシウム)
なども劣化の原因になります。
地味だけれども命にかかわるパーツです。目視では判断が難しいので定期的な交換をお奨めします。

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ブレーキオイルリザーバータンクはトランク内にあります。ブレーキオイルを抜いてホース交換、エア抜きと
いう手順で進めます。下段は右前輪サスで、矢印のホースを交換します。
ブレーキキャリパーはブレンボの4ピストンです。

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そして左後輪です。リアはエンジン側のホース取付部付近の工具の入るスペースが狭くて
若干やり辛いです。下段は新品のホース。

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こちらは同じく左後輪のブレーキローターを外した状態です。矢印のハブボルトの台座部分をご覧ください。
余分なところをぎりぎりまで少なくしてバネ下重量軽減に努めています。

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こちらのホイールナット。持つとエッ?!と思うほど軽い軽合金製です。ポルシェは昔から
こういう細かなところにも惜しまずコストを掛けてます。彼らにとっては当たり前のことをやって
いるだけなのでしょう。カタログとかでもいちいち声高にアピールすることなく売っていました。

運転して楽しいだけではなく、こういう姿勢も人々の信頼を積み重ねて今日のブランドイメージを
築き上げた理由でしょうね。当社ではこのところ964型の入庫が続きましたが知れば知るほどいい車です!
これからも世代を越えて乗り継がれるのは間違いありません。

アイドリングが不安定になるなどエンジン不調のためお預りしたダイムラー・ダブルシックスです。

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1968年登場のXJ6からほぼ変わらない風格あるボディにリージェンシーレッドと呼ばれる
ワインレッドが似合っています。ハンドメイドの内装に12気筒エンジンのジャガー最高級
サルーンでこの車は93年登録の最終型です。

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原因はガソリンタンク内の腐食が進んで燃料系統が詰まり気味になり、燃料が十分に送られ
なかったことでした。タンクを新品に換えて解決いたしました。

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これが取り寄せたガソリンタンクです。このXJ系はデビュー当時からタンクが左右に2つあって
給油口もそれぞれ別にあり、ダッシュボードにタンクの切替スイッチも付いています。
合計で91リッターも入ります。

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給油口からみたところ。中がひどく錆びてしまっています。

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タンクはこのトランクルームの側面、リアフェンダーの裏に立てて入っている感じです。
この後ろに向かってすぼんだリアスタイル、いいですね~。

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この画像はリアバンパーを外した状態で、タンクはこの奥の空間にすっぽり収まります。
昔の名残で配管には英国規格のウィットネジが使われています。

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タンク交換とは関係ありませんが4輪独立懸架の左側リアサスです。スプリングとアブソーバーが
片側2本ずつサブフレームに取り付けられています。見えにくいですがその奥にはインボード
ブレーキが見えます。ブレーキは前後ともガーリング製ベンチレーテッドディスク。
この構造といいコストが掛かっています!

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この給油口がトランクの左右にあります。全てが金属で作られていてクロームメッキされた蓋の
部分だけでも肉厚でけっこうな重さがあります。現代の車ではありえませんね。

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グリルはもちろんすべて金属製。最近の車のクロームと比べるとなんとなく光沢が“深い“感じがします。

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エンジンルームにぎっしり詰まった感じの5.3リッターV12エンジンです。72年に登場した当時は
世界で唯一の12気筒4ドアサルーンで、性能的にも最高速度230km/h、0-100km/h加速が7秒前後と
ベンツの300SEL6.3などと共にトップクラスでした。
現代の車のようにテスターをつないで診断・・・というわけにはいきませんが、この車にとって
最も適した整備を常に心掛けています。これからもオーナー様にはこの乗り味をずっと永く
味わっていただけるようご一緒させていただきます!

弊社がイタリアから輸入したモントリオールです。
今までに全塗装以外には大きなレストアを受けることなくほぼオリジナルを保っていて、
コンディションもかなり良かったことが決め手となりました。

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当時のワークスチーム、アウトデルタが開発したTipo33系レーシングエンジンを公道用に
仕立てたV8エンジンを搭載! 当時まだ特別だった燃料噴射やCDIイグニッションに
4カム、ドライサンプ、タングステンコンロッドなど多くがそのまま受け継がれています。
18台だけ作られた33ストラダーレを除くとアルファ唯一の自社製V8の市販ロードカーなのです。

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日本到着後チェックを幾度か行い基本的な整備は済ませてありましたので、いよいよ最終段階に
入りました。 その内容は足回りのリフレッシュで、以下の内容で作業を進めております。
フロント&リア・ショックアブソーバー交換、 フロントアッパーアーム交換、
トラニオンアーム・ブッシュ交換、      リアトレーリングアーム・ブッシュ交換、
リアハブベアリング交換、          タイヤ交換

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上の画像はフロントに装着されたビルシュタインのショックアブソーバーとアッパーアームです。
手前のブレーキローターの奥に見える黒い新しい部品がアームです。
その下の画像は外した古いパーツで各ブッシュにひびが入ってしまっています。これまでも
ビルシュタインが入っていました。

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トラニオンアームという聞きなれない名前のアームの全体像が上3枚のトップ画像です。
役割はシャシとデフをつなぐアームで、接合部のブッシュにガタが出てくると後輪がビシッと
定まらず、シフトアップ直後などパワーが掛かるとリアがヨロッとふらつきます。
この画像とその下の画像の矢印部分で繋がっています。

デフはZF製リミテッドスリップデフで、下面に放熱用のフィンが付いています。 車軸の両端を
ぶら下げているようなものはリバウンドストラップと呼ばれる、今回のような作業時に安全のため
これ以上落ちないようにするための布製の物で最初から付いています。

その下の画像は交換するブッシュ達です。左から3番目の黒い円盤状のブッシュは本来矢印の
ところにあるはずなのですが、割れてしまったのか左右とも何も残っていません。
これではボディが振れてしまいます・・・・。

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シャシをフロント側から見たところです。新品のアブソーバーがちらっと見えます。オイルバンと
シリンダーヘッドカバーはマグネシウム製!めちゃめちゃ軽いです。
ギアボックスはZF製5速で、同じものがこの後に登場したアルファ6(セイ)やマセラティビトゥルボにも
使われたと何かで読んだ記憶があります。

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このまぶたのようなライトカバーは、スタイルを損なわずに空力と昼間のパッシングライトの使用を
考慮にした結果だそうです。ライトを点灯するとバキュームの力でクルッと下方に半回転して格納されます。
下段の画像はスタイル上の大きな特徴であるサイドのエアアウトレットです。一部をアウトレット風な
装飾パーツで済ませている車もありますが、この車は上から下段まで金網の貼られた”本物”なので
洗車時になるべくここから水を入れないよう気をつけた方がよいそうです。

ギアが入らなくなりお預りした500(チンクエチェント)です。
調べてみたらクラッチのレリーズベアリングが破損していたので交換となりました。

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この車はATモード付きのセミオートマチック「デュアロジック」で、クラッチ操作は自動化
されていますがクラッチの機構自体はマニュアル車と同じです。部品交換するためにバンパー、
フロントサスペンションなどが外されました。

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左側タイヤハウス斜め前あたりから覗いたクラッチユニットを外したところです。右端の赤い物が
ブレーキキャリパーでその横にフロントストラットが見えます。クラッチユニットは黄色の矢印下の
円枠辺りにありました。

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クラッチレリーズベアリング。左が新品で、右が破損したもの。

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クラッチカバーです。ダイヤフラムスプリングのベアリングが接触する部分にも擦れた傷が付いて
しまっています。

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このレリーズ・フォークがベアリングを介してダイヤフラムスプリングを押してクラッチを切ります。

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不良個所はベアリングだけでしたが同時にクラッチユニット、ベアリング、フォークの3点を交換します。
これで安心!

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クラッチユニット類を組みつけたらハウジングの内部をきれいにクリーニングして装着します。
このあと補機類、サスペンション、バンパー、その他の部品を戻していきますが、今回は不良個所交換の
前後の作業が多い修理でした。

弊社では500の正規輸入に先駆けて2007年より販売、管理させていただいてきました。この車の魅力は
その頃から少しも変わらないばかりか、色々なバリエーションが加わってより広く多くの人達の感性を
刺激してファンを増やしています。近日中にイタリアから「RIVA」と「by GUCCI」という特別仕様車が
到着予定で我々も楽しみにしているところです!!

只今納車前の点検整備を受けているフェラーリ328GTSです。ブルーキアロという色の美しい車です!

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入庫時の点検でエアコンガスの漏れを確認したのでコンプレッサーの交換は予定していましたが、
その他についてはこれまでの経験に基づき安心してお乗りいただけるメニューをご提案させて
いただきました。その結果基本的な油脂類、プラグ、各ドライブベルト、フィルター類のほかに
予防整備も兼ねてウォーターポンプ、サーモスタット、タイミングベルト、テンショナーベアリングも
同時に交換することになりました。

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撮影時はちょうどチェンジシャフトシールの交換中でした。上の画像はオイルパンを外したところです。
矢印はシフトレバーとギアボックスを結んでいるシャフトで、シールはこのシャフトがケースを貫通する
部分にはめられています。

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これがその貫通箇所とシールのクローズアップ。下の写真の下段2個がシールそのもので、直径4cm程の
ゴムのリングがオイル漏れを防いでいます。交換箇所は2か所あるので2個です。ギアチェンジするたびに
ここをシャフトがスライドするのでその回数たるや相当なものだと思います。

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右リアのタイヤハウスから見えるエンジンタイミングベルト側です。矢印で示したウォーターポンプ、
オルタネーター、エアコンのベルトも交換しましたので当分安心です。サーモスタットも換えました。
328の整備性はそんなに悪くありません。

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シャシ側はこのようにほぼフラットな形状。フロントスポイラー下側に擦った跡がなく前のオーナー様が
丁寧に乗られていたのがうかがえます。上記の納車整備に加えてタイヤも新品にしましたので気持ち良いです。

O様、お待たせしておりますがもう少しでお納めできます。ルーフトップを外して心地良い秋のドライブを
満喫してください!

車検整備のためお預りしていました。

オーナー様は毎日のお仕事や用事に使われていますが 健康状態はいたって良好です。
特に問題となるようなところは見当たらないので今回は油脂類の交換くらいで済みました。

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ただフロントスタビライザーについているリンクのブーツに破れがあったので
交換しました。ここが破れると中のボールジョイントが傷んで走行フィーリングが
悪くなってきます。この車の年式、距離からいくと交換は妥当なところです。

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シトロエンといえばDSやBXなどに代表される独創的なイメージが強いですよね。趣味性や
個性が豊かでどの車にも似ていないものを目指しているように感じます。90年代に入り
いったん国際的になり個性が薄れた時期がありましたが、このC4あたりから再びシトロエン
らしさを大切にし始めたのは嬉しかったです。

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これは最近弊社が取り扱ったC6です。少し出っ張ったテールランプやウィンドウデザインなど
各部に類似点がみられます。

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個人的にはこのダッシュボードが好きです。センターメーターは半透明で昼間は向こう側が
うっすらと透けて見え、夜になると優しいオレンジ色に光ります。裏面も光るので車外正面から
見てもそこがオレンジ色に光って見えます。そしてハンドルのパッド部分はハンドル切っても
回らない固定式なんです。こういうこだわり好きです。

そういえばこの前発表された新型C3も個性的なシトロエンらしい車で気になります。
http://www.citroen.co.uk/new-cars-and-vans/future-vehicles/new-citroen-c3
当店ではこちらも早期導入を予定していて待ち遠しいです!

今日整備を受けていたのは964型のポルシェ911カレラ2です。車検整備を承りお預りしています。
手入れの行き届いた車で、サスペンションはエナペタルのものに替えられています。

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今回は車検の他にエアコンガスの補充、タペット調整も行います。
下の写真は左リアのタイヤハウスから見えるタペットカバーが外されたシリンダーヘッド部分です。
その下の写真は右側タイヤハウスから撮った拡大写真。上段が吸気、下段が排気側です。内部の汚れが
走行距離を考えると少なく、これまでのオイル管理が良かったことを物語っています。

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下の写真はタペットカバーの裏側です。掃除した後の画像ですが、やはりカバー側も元々それほど
汚れていませんでした。日頃のメンテナンス、ちょっとした扱い方が長い年月を経ると大きな差となって
現れる好例です。

そしてパッキング、ナット類を新品に替えてまず排気側カバーを取付けました。

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長年培ってきた空冷ポルシェの経験に基づき勘所を押さえた整備を施しますので、これからもずっと
お楽しみいただけると思います。
964型、とても良い車です!

今日のルッソではもうすぐ納車されるアストンマーティンDB9が作業中でした。
弊社が輸入した車で、納車前整備として各部のオイル、フィルター、冷却水、バッテリーを交換、
只今ETCを取付中でした。

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5.9リッター、V12気筒エンジンにアルミスペースフレームのシャシー。
どの角度から見てもバランスがとれて見える、まるでクーペスタイルのお手本のような
スタイルの贅沢な車です!

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この車、ドアを開けるとドア後端が普通じゃないくらい上の方に来ます。そしてその内装は
英国車らしい本木目とステッチ入りの革に、アルミスペースフレームを連想させるドアハンドルを
上手く融合させています。

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計器盤もディテールまでこだわったデザインと木、革、金属パーツの使い方が素敵です。
この後、ボディコーティング施工後納車前整備完了となります。
M様、納車までもうしばらくお待ち下さいませ。

先日、弊社Facebookでもご紹介したロータス ヨーロッパ スペシャルが納車整備の
作業中です。

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油脂類、プラグ、バッテリー交換などの定番作業の他に、今後のことも考えてクラッチワイヤー、
燃料ホース、ラジエターホース、リアブレーキシリンダーなども交換中です。
そうです、この車はクラッチが油圧式でなくワイヤー式で、新しくしておくと安心です。

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長年にわたってロータス愛好家に大切にされてきた車なのでエンジン、下回りもご覧のとおり
とてもキレイです。

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とは言え40年以上前の車ですから安心してお乗りいただけるよう、細かなところも入念に
チェックして進めております。古い車に限らず些細な不具合の芽を見逃すかどうかが
その後のコンディションを大きく左右します。特にこのロータスのように運転を愉しむ車の場合、
設計者が意図した味をしっかりお届けできるよう日々努力しております!

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